ナンシーさんだったら… [文化の会(映画・テレビ・演劇・本)]
消しゴムはんこを中学生の頃から作っていた私は、ナンシー関さんの消しゴムはんこを初めて見た時、衝撃を受けた。
私は人の名前を中心に彫っていて、絵は簡単なものしか彫っていなかったから、ナンシーさんの芸の細かさ、しかも似顔絵はどれもそっくりで、すごい人がいるのだと思った。
でも、もっとすごいと思ったのは、彼女の書くコラムだった。
友人から教えてもらい、それ以来ずっと読んでいた『噂の眞相』でも毎月連載していて読むのを楽しみにしていた。彼女の本も何冊か読んでいた。
彼女の洞察力は素晴らしく、ブラウン管の向こうにいる人物の矛盾点を見抜いてコラムでバッサリと斬る。女性の文章とは思えない鋭さ。その着眼点にも「すごいとこみているなー」と毎回感心したものだ。自分がもし有名人になったらナンシーさんに斬ってもらいたいと思ったくらいだし、ナンシーさんに書かれるということは有名人の証しということにもなるだろう。
でも、ある日突然ナンシーさんは他界してしまった。
ものすごくショックだった。
それ以来、ブラウン管の向こうに怪しい人がいると「ナンシーさんなら、この人の事どう思うんだろう?」「ナンシーさんならこの人のことバッサリ斬ってくれるだろうな」と思ったりする。
ナンシーさんがこの世に残した作品を読み返しては、もっともっと彼女の作品や文章を目にしたかったなと思う。
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